お口の中が正しく清掃させないと、口の中の細菌がたべかすを分解し、歯の表面に膜(バイオフィルム)状の共同体であるプラーク(歯垢)を形成します。
歯周病とはこのプラークが歯を支持している組織(歯肉、セメント、歯根膜、歯槽骨)に炎症を起こし、徐々に進行し、歯肉付着部が崩壊しやがては歯の喪失に至る病気です。
また、プラークの細菌の産生する酸は虫歯の原因にもなります。
プラークは唾液中のカルシウムなどを取り込み、硬い歯石になります。
歯石の上にはプラークが付着しやすく、歯石も歯周病の原因となります。
その歯周病菌の原因となる細菌は、Actinobacillus actinomycetemcomitans やPorphynomonas gingivalisやFusobacterium Nucleatumなどです。
そのほかにも、全身性疾患があります。
血液疾患、高血圧、糖尿病などがあげられます。
また、ストレスなどの精神的なものや、ホルモンのバランスなどもこれに加わります。
全身性疾患にかかりますと、抵抗力がまず弱まって、炎症とか外傷とかを起こしやすくやります。
1.軽度歯周病(歯肉炎)
ポケットが3ミリ以内で、歯槽骨の破壊が起こっていない状態の場合は、ほとんどが完治します。
歯肉炎では、プラークや少量の歯石がたまり歯茎に炎症が起こり、赤く腫れたり出血したりします。
この状態が進むと、中程度歯周病になります。
2.中等度歯周病(歯槽膿漏)
歯周ポケットが4~7ミリで、骨の破壊(歯の根を支えている骨がとけている)が起こっている状態。
歯や根っこには、多量の歯垢や歯石が付着しています。
歯肉炎に比べて、歯茎の腫れ・出血・膿が出ることがあります。歯が前後左右に揺れだします。
3.重度歯周病(歯槽膿漏)
歯周ポケットが6~8ミリ以上で、歯槽骨の破壊がかなり進んでいる状態。
重度歯周病では、歯や根っこには多量の歯垢や歯石が付着し、歯周組織の破壊が相当に進んでいる。
支えを失った歯は、前後左右に揺れるばかりでなく、上下にも揺れます。そのため、噛むと痛くて物が噛めないようになってしまいます。
口臭の原因となっているくらいです。
歯周病を防ぐためには歯をしっかりとみがくのがいちばんです。
歯周病が口臭の原因になるのはなぜかというと、歯周病になると歯の間に歯周ポケットといわれるものができるようになります。
ここに口臭の原因となる、物質が多くできやすいというのが直接の原因らしいです。
[1] 側面(右)
[2] 正面
[3] 側面(左)
[1] 喫煙者の軽度歯周炎 正面
[2-a] 喫煙者の重度歯周炎 正面
[2-b] 喫煙者の重度歯周炎 正面
1、 なぜ歯石を取るのですか?
プラークが付きにくい、 よい環境をお口のなかに作ることは歯周治療の大 切な基本です。 プラークの中の細菌がはいりやすく、細菌の恰好の巣になっ てしまう歯石を取り除い たり、古くなった詰め物の継ぎ目は段差ができプラ ークが溜まりやすいため、きれいに詰めなおしたりします。
2、 歯槽骨は回復しますか?
歯槽骨のなくなり方には2パターンあります。ひとつは、均等になくなっ ていく水平型の 吸収、もうひとつが部分的に深く壊れていく場合です。プラ ークの溜まりやすい場所や偏った力のかかる場所は、えぐれるように歯槽骨 が壊れます。その場合、再生治療などにより回復は比較的可能です。しかし 水平に吸収した場合は、まず回復しません。
3、 治療後に歯ぐきがやせてしまうのはなぜですか?
歯面と歯ぐきをピッタリと つけていた付着様式が壊れ、また歯ぐきを支え ている歯槽骨が壊れると、「歯ぐきがやせる」「歯がながく なる」といわれる状態になります。ことに歯周炎の治療が終わり、歯ぐきの腫れが目立つこと になります。腫れているときは見えなかった破壊のあとがみえるようになっ たのです。
4、 歯周病になると前歯がでるのはなぜですか?
歯周炎が進行して中等度、重度と進行すると、歯周組織が破壊され、歯は グラグラしはじめます。歯が噛む力をうけとめられず動いてしまうのです。 すると、下あごに押し上げられて、前歯が前にせり出します。かみ合わせに 問題が生じるのです。